相談者さんに「贈与税の非課税110万円の枠はなくなったの?」とよく聞かれます。その質問に私は、こう答えます。
「いいえ、なくなっていません。ただ、今現在は、、、(2022年4月現在)」
なぜ、今現在なのか・・・と付け加えたのか
まず、「贈与税」とは
贈与税とは、個人から財産をもらった時にかかる税金です。
(国税庁HP:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁)
自分以外の誰かから財産をもらったときかかる税金が贈与税です。ただ、1円でも財産をもらったら、税金がかかる訳ではなく、一定の金額以上で贈与税がかかることになります。一定の金額までであれば、贈与税を納める必要はありません。
細かいこと言えば、「非課税枠」ではなく、「基礎控除額」
ちなみに法律上、贈与税がかからない一定の金額は「非課税」ではなく「基礎控除額」と言います。
では、「基礎控除額」はいくら
110万円です。
贈与を受けた財産の価額から110万円を控除した金額に対して贈与税が課税されます。200万円をどなたかに頂いた場合は、200-110=90万円が贈与税の対象となります。
その、「基礎控除額110万円」は誰が決めている
基礎控除額110万円は、租税特別措置法という法律で決められています。租税特別措置法という法律の第70条の2の4(第1項)です。
租税特別措置法とは
租税特別措置法とは、ある一定の目的(主として経済的な目的)から、国税に関する法律について特例を定めた法律です。法律の効果としては、税金が軽減されるようなものが多く、いわゆる「住宅ローン控除」も租税特別措置法で定められています。
租税特別措置法は、特例的な法律なので、ずっと存在するものではありません。
よって、「今現在は」と付け加えているのです。
贈与税の基礎控除の特例が廃止された場合はどうなる?
贈与税の基礎控除の特例(特措法第70条の2の4)が廃止になった場合、どうなるかですが、相続税法の21条の5を適用することになります。
第二十一条の五 贈与税については、課税価格から六十万円を控除する。
先にも書きましたが租税特別措置法は、国税に関する法律について特例を定めた法律です。相続税法21条の5(贈与税の基礎控除)の特例を定めたもの、租税特別措置法第70条の2の4(贈与税の基礎控除の特例)です。よって、特例がなくなった場合は、相続税法21条の5に規定されている60万円を基礎控除額として適用することになります。
60万円もどうなるか・・・
60万円も未来永劫とは言い切れません。税制改正で、金額が小さくなる可能性もあります。
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