はじめに
上場株式等の譲渡をし、利益が生じた場合、確定申告をしなければならないのか?というご質問を頂くことがあります。
原則として、上場株式等の譲渡益は、申告分離課税の対象となり、確定申告書の提出が必要となります。ただし、証券会社で開設した口座の種類によっては、原則、申告が不要となっているものもあります。
口座の種類とその概要
口座の種類
上場株式等による資産運用を行うためには、まず、証券会社で口座を開く必要があります。
口座の種類は、大きく分けて『特定口座』と『一般口座』があり、『特定口座』は、さらに源泉徴収税の有無によって「簡易申告口座」と「源泉徴収口座」に分かれます。
(この他、口座の種類としては、少額投資非課税制度の適用受けるための『(つみたて)NISA口座」』、特殊な『特別口座』がありますが、ここでは、説明を省きます。)
『特定口座』・『一般口座』とは
『特定口座』
『特定口座』は、証券会社が、1年間の上場株式等の譲渡に関する損益の状況について取りまとめて、書面で報告(年間取引報告書)してくれる口座のことを言います。
なお、上場株式等の譲渡については、その譲渡益に対して20.315%(所得税が15.315%、市民税が5%)の税金が課せられます。『特定口座』のうち、上場株式等の譲渡があった都度その譲渡益に対する税金が源泉徴収される口座を「源泉徴収口座」と言い、源泉徴収されない口座「簡易申告口座」と言います。
『一般口座』
『一般口座』は、上の『特定口座』や『NISA口座』で管理されていない上場株式等を管理する口座のことを言います。
『特定口座』のように、証券会社による年間取引報告書の提供をうけることはありませんので、自身で、1月1日から12月31日までの1年間の譲渡損益を計算する必要があります。もちろん、譲渡損益の計算は自ら行う必要があるため、証券会社から譲渡益に対する税金が源泉徴収されることもありません。
まとめ
上記までを表でまとめると以下のような表になります。
上場株式等の口座として証券会社に開設される口座の種類は、おおきく『特定口座』と『一般口座』の2つです。この2つの口座の大きな違いについては、1年間の上場株式等の譲渡損益の計算について、証券会社等が計算してくれるか、自ら計算するか、が挙げられます。
次に、『特定口座』のうち、「源泉徴収口座」と「簡易申告口座」の違いについては、上場株式等の譲渡益について、その都度源泉されるかかどうかでした。
なお、『特定口座』は、1年間の譲渡損益の状況について、年間取引報告書を証券会社が作成し、投資家に報告してくれる口座ですが、その年間取引報告書は、税務署長・市区町村長にも提出されます。
確定申告書の提出が必要な口座と申告不要な口座
最初に述べたように、上場株式等の譲渡については、原則、分離課税の対象となり、確定申告書の提出が必要です。
しかしながら、『特定口座』における「源泉徴収口座」については、原則、申告不要となっています。なぜなら、『特定口座』における「源泉徴収口座」については、証券会社より徴収される源泉税が国に納付されることにより、納税は完了されるからです。また、証券会社から税務署長に対し、年間取引報告書が提出されますので、上場株式等の譲渡損益の状況について税務署の方で把握ができます。
えっ、他の所得と合算しなくてもいいの?と思われる鋭い方もいらっしゃるかと思いますが、上場株式の譲渡所得については、分離課税(他の所得と分離して課税)の対象ですので、合算する必要はありません。
ということで、ここまでを図に纏めると以下のようになります。
なお、『特定口座』における「源泉徴収口座」は、原則申告不要となっていますが、場合によっては、申告した方がよい場合があります。そのことついては次回また。
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