売上は、いつ計上するのか?会計上・税務上の売上計上日について

はじめに

 事業者様からのご質問で、売上はいつ(いつの日付で)計上したら良いの?請求書発行した時点?お金貰った時点?というご質問を頂くことがあります。

 ここでは、売上の計上日について、小売業の一般的な取引をもとに説明しています。

売上は実現した時点で計上

売上の計上時点

 企業会計原則上、売上は、実現した時点で計上することになっています(これを、「実現主義」と言います)。

 企業会計原則とは、企業会計の実務の中に慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められた会計慣行を要約したもので、法律ではありません。

 法律ではありませんが、会社法や金融商品取引法では、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うべきことが定められており、その一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行は、企業会計原則に該当するものと一般的に解釈されています。従いまして、企業会計原則を基準とした会計処理を行う必要があります。

 企業会計原則は、金融庁長官の諮問機関である「企業会計審議会」によって設定(1982年最終改定)され、企業会計制度の改善と統一を目的とする原則です。その構成は、大きく「一般原則」「損益計算書原則」「貸借対照表原則」の三部からなります。

 売上は、企業会計原則の損益計算書原則に、「実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。」とされています。

「実現主義」の「実現」とは

 売上は実現した時点で計上することは分かって頂けたと思います。では、実現した時点とはいつなのでしょうか?

「実現」の要件は2つ

 会計上は以下の2つの要件が取引過程で満たされたときに、売上が「実現」したと考えられています。

 ➀商品を販売し引き渡した日(財貨又は用役の移転)
 ②代金の受取が確実になった日(現金又は現金等価物の取得)

「小売店の場合」

 では、小売業を店舗の他、インターネットを活用して行う事業者を例にして「実現」をのタイミングを考えてみたいと思います。

店舗での販売 

 小売業を店舗を構えて行っている場合には、商品をお客さんに渡して、代金の支払いを受けた時点で、「実現」の2要件を満たすことになります。

 もし、商品をお客さんに渡して、お客さんからクレジットカードやバーコードで代金の決済の受けた場合はどうでしょうか?クレジットカードやバーコード決済の場合も、代金の受取が確実になった日(=現金等価物の取得)と考えられるため、実際の現金の受取は先になりますが、売上を計上することになります。

インターネットでの販売

 次に、インターネットを利用した場合はどうでしょうか?

 インターネット販売等は、[注文]→[代金決済(現金振込・クレジットカード等)]→[出荷]という流れが主な取引の流れかと思います。

 この場合は、出荷した時点で引渡しが行われたと考えらえますので、出荷時において「実現]の2要件を満たすことになります。よって、出荷した時点で売り上げを計上することになります。代金決済があったんだから、税金払えるでしょ?売上を計上しなさい!とかいう税法の決まりもありません。

 あくまで2つの要件を満たした時点で、売上を計上します。

代金引換の場合

 では、インターネット取引で代金決済方法で用いられる代引きの場合は、いつ「実現」の2要件を満たすのでしょうか?

 代金引換の場合の流れは、[お客さんから注文]→[出荷]→[配送業者が配送・代金回収]→[配送業者が入金]となります。

 この場合、小売業者は、お客さんから注文が入り、代引決済をするという、約束(契約)を元に出荷したので、やはり出荷した時点が2要件を満たす時点かな、という考え方ある一方で、代金の受取が確実になったのは、配送業者が代金を回収した時点だから、回収した時点が2要件を満たす時点という考え方もできなくありません。いやいや、配送業者が持ち逃げする可能性だって否めない、代金が振り込まれた時点だ、という考え方も出てくると思います。

 こういう場合は、いろんなことを考慮して2要件を満たす時点の妥当性について判断する必要があります。

サービス業の場合

 サービス業の場合は、➀サービスの提供を行い、②代金の受取が確実になった日が、売上計上日となります。

 美容室なら、ヘアーカットして、代金の決済を受けた時点です。

 運送会社から、代金の決済が先に行われることがあると思いますが、代金の決済が先に行われたとしても、配送が完了した時点です。

税務上における売上の計上日

 税法においても、基本的には、企業会計原則に従って売上を計上することになります。

 しかし、ケースによっては、企業会計原則の2要件について例外的な考え方をするケースがあり、注意が必要です。例えば、長期間に及ぶ大きな工事の場合、2要件を満たす前に売上を計上する必要がある場合があります。その他、手付金・着手金なども注意が必要な場合があります。

 また、代引のケースのように2要件の実現時点が明らかではないものについて裁判等で争われたケースもあり注意が必要です。

終わりに

 事業を始めて間もない方は、入金されて取引が完了、納税資金もそこから賄えるとの理由から、売上の計上日は入金日と思っておられる方が多いです。

 しかし、実際の売上の計上については、実現の2要件を満たした日ということなります。

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